自動車の速度抑制対策、歩車分離信号の増設を求める要望書

2018年04月12日
クルマ社会を問い直す会は、2018年3月30日、下記の要望を警察庁長官ほかへ提出しました。(PDFファイル)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
警察庁長官殿
内閣府政策統括官交通安全対策室長殿

     自動車の速度抑制対策、歩車分離信号の増設を求める要望書

                    2018年3月30日
                    クルマ社会を問い直す会
                    http://toinaosu.org/

最近、交通事故は関係機関のご努力もあって減少傾向にありますが、年間死者数はいまも4600人を超え(平成28年の30日以内死者数)、うち半数は歩行者・自転車利用者が占めるなど、現状は深刻な状況です。
「第10次交通安全基本計画」では、基本理念に「高齢者,障害者,子供等の交通弱者の安全を一層確保することが必要となる。交通事故がない社会は,交通弱者が社会的に自立できる社会でもある。このような「人優先」の交通安全思想を基本とし,あらゆる施策を推進していくべきである。」と記され、歩行者と自転車の被害を減らすことが目標に掲げられています。その真の実現のために、以下の対策を強く要望いたします。


要望項目(骨子)
1.一般道の最高速度は、歩行者等の安全と良好な地域環境を守るため、極力抑制する方向で見直し、速度違反の取り締まりを強化してください。

2.ゆっくり安全に運転することのメリットを社会に発信してください。

3.「ゾーン30」を、より低速の歩行者優先ゾーンへと発展・拡大してください。

4.「完全型歩車分離式」の歩車分離信号の設置をさらに進めてください。


要望項目の補足説明
1.一般道の最高速度は、歩行者等の安全と良好な地域環境を守るため、極力抑制する方向で見直し、速度違反の取り締まりを強化してください。
警察庁では平成21年度より一般道の最高速度の引き上げを進め、26〜28年度には最高速度40〜50q道路を中心に引き上げ策が実施されました。
平成29年12月の通達では、「これまでの点検対象路線のほぼすべてで規制速度と実勢速度の乖離状況が改善し、実勢速度上昇傾向や交通事故増加傾向はみられなかった」として、「一層合理的な最高速度規制の点検・見直しに努める」ことを記しています。しかも、今回は点検対象の要件の1つに「平成21年以降の3回の最高速度規制の点検の取組において、警察として規制速度の引き上げの可能性を積極的に検討していたが、住民等の理解が得られなかった等の理由により規制速度が現状維持とされた区間」を挙げています。すなわち、「過去に住民等の理解が得られなかった区間」も再度引き上げ対象にせよという通達です。
しかし、一般道路は歩行者・自転車も利用する地域の生活空間の一部であり、速度引き上げには以下に記すように多くのリスクがあります。住民の意見を無視するような強引な速度引き上げには、強く反対します。

【速度引き上げにより懸念されるリスク】
◎ドライバーには潜在的に先を急ぐ心理があり、速度引き上げ後しばらくは遵法速度に収まっても、いずれ徐々に速度を上げていく懸念がある。走行速度が上がれば事故リスクも上がる。自動車の制御距離も衝突時の衝撃も速度の二乗に比例し、衝突速度が上がるほど歩行者の致死率も上昇する。
◎日本は、最高速度引き上げ対象となっている幹線道路などの大きい道路と生活道路とが混在している地域が多い。幹線道路なども生活のための道路として歩行者や自転車も多く利用し、通学路にかかる地域もあり、横断中の歩行者被害も多い。通達では、これまでの最高速度見直し施策により「ほぼすべてで交通事故増加はみられなかった」としながらも、「一部に事故増加も見られる」と記しており、事故増加リスクは払拭できない。
◎警察庁では歩行者安全対策として生活道路の30q/h規制や「ゾーン30」の整備も推進しているが、一般道路の規制速度を引き上げると、ドライバーの先を急ぐ心理が刺激され、生活道路やゾーン30内で速度を充分に落とさない(気持ちの切り替えをしにくい)懸念や、ゾーン30整備に消極的になる懸念もある。一方、歩行者(特に子どもや高齢者、障害者等)もゾーン30内と他の道路での車の速度の差が大きいと、対応の切り替えがうまくできず、事故につながるおそれも心配される。
※ドライバーが常に法規遵守、歩行者優先の意識と注意力を持っているなら上記の心配は杞憂であるが、現実にはドライバーの多くは速度遵守はおろか交差点での一時停止、信号のない横断歩道での歩行者優先、等の意識も欠いており、事故のほとんどは法規違反、安全不確認、操作ミスなどに起因している現実では、事故リスクの懸念は尽きない。
◎自動車の速度が速いほど、歩行者・自転車はより多くの注意を強いられ、身心への負荷が増す。特に高齢者や障害者、子どもなどの外出意欲や機会が阻害される懸念もある。

一般道は自動車のためだけのものではありません。規制速度の検討には、実勢速度よりも地域住民の安全・安心な生活環境を第一に考慮し、歩行者・自転車利用者が安心して横断などのできる速度に下げることを要望します。
また、ドライバーの速度違反は常態化していますが、警察は取り締りをもっと強化し、遵法速度走行の徹底にこそ力を注いでください。


2.ゆっくり安全に運転することのメリットを社会に発信してください。
実勢速度に合わせた最高速度引き上げは、交通流の円滑化とドライバーの利便向上にも資するというねらいがあってのことと推測します。しかし、一般道は信号や横断歩道もあるため、速度を速めても目的地までその分早く着くとは限りません。速度を速めることによる疲労のリスクも考慮する必要があります。
九州大学名誉教授、松永勝也氏の研究*によれば、「7.5q区間を最高時速40q、50q、60qで走行した場合、所要時間はほとんど変わらない」「交差点を黄色信号で止まらずに走る場合と停止した場合では、所要時間はほぼ変わらず、停止したほうが楽に運転ができ、見えるものが増える」「早く走ろうとすると血圧上昇幅が大きくなり、疲労度が高まる」等のことが報告されています。また、タクシー会社で速度管理を徹底したところ、管理以前より事故が半減し、疲労度が減って走行距離が増え、1台当たりの平均収入が2割上がったというデータもあります。
 走行速度を上げるほどドライバーの視野は狭くなり、危険認知力は低下し、衝突リスクも衝突時の被害も増大します。一方ドライバーはより多くの注意力と緊張を強いられ、心身のストレスが増します。道路の最高速度を上げれば、実際以上の時間短縮効果が「期待され」てその分の仕事量が増え、過重労働となるドライバーが増えて事故リスクを増大させるおそれも、現実をみれば想像に難くありません。
警察庁は速度を上げることよりも、「ゆっくりと安全第一に法規遵守で走るほうが事故削減につながり、ドライバーの心身に、ひいては仕事の効率性においても有益」ということこそを、社会に積極的に発信してほしいと思います。信号のない横断歩道の前に歩行者がいても自動車を停止させるドライバーは1割しかいない(JAF調査)、という現実が社会問題にもなっていますが、そのようなドライバーの意識変革にも大きく資すると思います。
*『交通事故防止の人間科学』〔第2版〕ナカニシヤ出版、2006.


3.「ゾーン30」を、より低速の歩行者優先ゾーンへと発展・拡大してください。
警察庁が歩行者の安全対策として平成23年より進めている「ゾーン30」は、全国に3105箇所(2016年度末)整備され、整備後は事故が2割以上減ったと報じられており、ご努力に敬意を表し、さらなる整備を期待します。と同時に、より歩行者の安全を高めた安心して歩けるゾーンにするための対策を望みます。
 ゾーン30は、本来はボンエルフの理念のように「歩行者が優先権を持つ空間(子どもの遊びも許される)、自動車はゆっくり歩く速度で走行する」空間であることが望まれますが、日本では単に「時速30q以下で走行する区域」という認識が先行し、理念への理解が充分浸透していないように見受けられます(ゾーン内の実勢速度平均は約32km/hであること、ハンプ等の設置に地域住民の理解が得られにくいことも、その表れのように思われます)。時速30qという速度は、衝突時の歩行者の致死率は10%あり、重傷を負うリスクもあり、歩行者が安心して歩ける速度ではありません。
ゾーン内を真に歩行者の安全空間とするには、ドライバーが常に「歩行者優先」を意識して可能な限り低速で走ることが求められます。その実現のため、徐行程度の低速走行を基本とするゾーンへと発展させ、理念がより的確に伝わるような名称(例「歩行者優先ゾーン」など)への変更も検討してください。


4.「完全型歩車分離式」の歩車分離信号の設置をさらに進めてください。
歩車分離信号は2017年3月末現在、全国の交差点で8900基にまで増え、大変喜ばしいことです。しかし設置率は未だ信号機全体の4.3%にとどまり、今後も歩行者が横断中に、右左折車に巻き込まれて犠牲になる事故はあとを絶たないことが危惧されます。
交差点での歩行者巻き込み事故は、毎年15.000件以上発生していると聞きます。青信号で横断中の歩行者は、右左折車のドライバーに見落とされ側面や背後から突っ込んでこられたら、なす術はありません。
歩車分離信号は、歩行者や自転車などの交通弱者が交差点を横断する際に、右左折車による巻き込み事故を減らす上で大変有効性が高いものです。今後もさらなる増設を早期に進めることを強く要望いたします。
なお、横断者の万全な安全確保のためには、「右折のみ分離式」ではなく、歩行者専用現示式や右左折車両分離式等の「完全型歩車分離式」の信号を導入してください。特に、横断者が多く、トラック混入率の高い交差点や右左折車の多い交差点、通学路の交差点には、横断者の安全を最優先し事故が起こる前に歩車分離信号への改善を進めてください。
また、これは歩車分離信号に限りませんが、横断歩行者の実態を勘案し、高齢者や障害者も安心して渡れるよう、歩行者横断中の青点灯時間を充分確保するようにしてください。
          以上
posted by kuruma-toinaosu at 07:21 | Comment(0) | 提言・提案・意見表明 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

自動車運転免許の認可基準の強化を求める要望書

2018年04月12日
クルマ社会を問い直す会は、2018年3月30日、下記の要望を国家公安委員長ほかへ提出しました。(PDFファイル)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
国家公安委員長殿
警察庁長官殿
内閣府政策統括官交通安全対策室長殿 

     自動車運転免許の認可基準の強化を求める要望書

                    2018年3月30日
                    クルマ社会を問い直す会
                    http://toinaosu.org/

最近、交通事故は関係機関のご努力もあって減少傾向にあります。しかし、年間死者数はいまも4600人を超え(平成28年の30日以内死者数)、うち半数は歩行者・自転車利用者が占めており、現状は「第10次交通安全基本計画」の目標にも、「人優先の交通安全思想」という基本理念にも未だ遠く、深刻な状況です。
自動車は一瞬のミスや不注意で人を死傷させ得る危険物ですが、事故の大半はドライバーの法規違反、不注意、運転操作ミス、身心不調など、危険物を扱う資格や意識の欠如に起因しています。自動車の運転はだれの監視も受けずにドライバーが意のままにできる点に高い事故リスクが潜んでおり、なればこそドライバーは高い運転能力や注意力、身心機能、法の遵守意識などを有していなくてはなりません。運転免許制度はその重要な審査機関であり、免許認可には人命の安全がかかっています。その観点から、免許認可基準の強化を要望します。一部に過去の要望と重なる点もありますが、再度要望いたします。


要望項目(骨子)
1.自動車運転免許の取得および更新希望者全員に、現行試験・検査のほかに以下の試験・検査を義務づけ、厳しい判定基準のもとで運転免許を認可する制度を導入してください。
@運転技能・資質等の適性試験
A運転にかかわる健康状態の検査
a血液循環器系健康診断(血圧、血糖値、血中脂質、肥満度、心電図)
b睡眠時無呼吸症候群の簡易問診テスト(ESSテスト)
c久里浜式アルコール症スクリーニングテスト
d精密な視野検査(60歳から)
e認知症検査(60歳から)

2.1の運転適性試験や健康診断の結果が及第点でもレベルが低い人、違反回数が多い人などは、運転免許の有効期間を1年または2年に短縮し、1の試験を受ける機会(チェックの機会)を増やしてください。また、前期高齢者の65歳以降の人も、有効期間を1年または2年に短縮してください。

3.違反や事故の内容により、行政処分を厳しくしてください。

4.無免許運転防止のため、「ICカード免許証による無免許運転防止装置」を自動車に装着することを義務づけてください。

5.運転免許自主返納をさらに促し、公共交通利用へのシフトを関係省庁と連携して進めてください。


要望項目の補足説明
1.自動車運転免許の取得および更新希望者全員に、現行試験・検査のほかに以下の試験・検査を義務づけ、厳しい判定基準のもとで運転免許を認可する制度を導入してください。 
(死亡事故の第一当事者であるドライバーの85%は運転免許取得後5年以上の者であり、更新時にも導入することは事故削減に不可欠です。)
@運転技能・資質等の適性試験
適性検査とは、ドライバーの運転動作の正確度、判断・注意力、危険予知力、安全意識、視力(動体視力、周辺視野、夜間視力)、性格などを運転シミュレーターなどで診断し、問題点を見出す検査(現在、事業用自動車の運転者に義務づけられている適性検査と同レベルのもの)などを指します。運転歴、違反歴などによる対象別の検査を「試験」として導入し(自動車教習所などを活用)、厳しい判定基準を設けてください。安全運転の能力や資質は、職業運転者だけでなくすべてのドライバーに必要不可欠です。

A運転にかかわる健康状態の検査
 運転にかかわる病気については、虚偽申告に罰則が設けられたものの自己申告であるため、病気の自覚がない・症状の認識が甘い・健康診断を受けていない等の場合、重大な病気が見逃されるおそれがあります。それを未然に防ぐ対策として、以下のような事前検査を義務づけ、免許認可の判定基準を設けてください。
a血液循環器系健康診断(血圧、血糖値、血中脂質、肥満度、心電図)
b睡眠時無呼吸症候群の簡易問診テスト(ESSテスト)
c久里浜式アルコール症スクリーニングテスト
aは、心臓発作や睡眠時無呼吸症候群や無自覚性低血糖による意識消失など、運転中の事故につながる症状と関連のある基本的な身体情報であり、bcは各症状の兆候をつかむ初段階テストです。いずれも一般医療機関で実施可能です。これらの検査を以下のように免許認可の審査に生かすことを要望します。
段階1:免許希望者にa〜cの診断書(専用書式に検査数値と「治療の必要性の有無」を医師が記入する)の提出を義務づける。
段階2:段階1で「治療の必要性有り」の者は、より詳しい検査による診断判定書(専用書式に診断結果と運転の可否を医師が記入するもの。運転可否の基準は事前に設定)の提出を義務づける。
段階3:段階2で運転不可とされた者には免許認可を与えない。
また、運転可とされた者でも要注意の症状がある場合は、運転に際して血圧、血糖値などの測定を義務づけ、数値により運転可・不可の判断基準(事前に設定)に従うことを義務づけ、違反した場合の罰則を設ける。
※(例)無自覚性低血糖については以下の対応を提案します。
・糖尿病でインスリンなどの薬剤治療中の場合は、無自覚性低血糖の危険の有無について年1回医師の診断書の提出を義務づけ、危険がある場合は免許不認可とする。
・運転免許を認可した者でも、インスリンや低血糖を起こすおそれのある薬剤を服用している場合は、運転前および運転中2時間毎の血糖値測定を義務づけ、数値が100r/dl未満の場合は運転を禁止とする。

d精密な視野検査(60歳から)
 精密な視野検査については2018年度から70歳以上のドライバーを対象に試験的に導入する動きがあると聞き、本格導入を期待しています。ただし、視野狭窄を招く緑内障、網膜色素変性などの患者年齢をみると、遅くとも60歳からの検査とそれによる免許認可の判定の導入を要望します。
e認知症検査(60歳から)
認知症について、75才以上の人への更新時検査が義務化されたことは前進と歓迎します。ただし認知機能も60代頃から衰えるといわれ、若年発症もみられることから、遅くとも60歳からの検査導入を要望します。また、検査の結果「認知症のおそれ」と判定された場合、医師の診察を受けるまで運転は禁止とし、免許認可の基準も厳しくしてください。

※運転にかかわる疾患の検査法は、専門家の協議により上記案より適切なものがあればその導入を進めてください。また、上記以外の疾患でも検査と免許認可基準の導入について専門家による検討を進めてください。
※検査・試験の費用は免許取得希望者の負担としますが、障害者や高齢者の送迎などで運転が必要不可欠な人には所得に応じた経費軽減制度を設けることや、要望項目5に記す公共交通利用へのシフト政策も、併せて検討してください。

2.1の運転適性試験や健康診断の結果が及第点でもレベルが低い人、違反回数が多い人などは、運転免許の有効期間を1年または2年に短縮し、1の試験を受ける機会(チェックの機会)を増やしてください。また、前期高齢者の65歳以降の人も、有効期間を1年または2年に短縮してください。
 補足説明はなし。

3.違反や事故の内容により、行政処分を厳しくしてください。
@昨年表面化したあおり運転事件をふまえ、当該ドライバーに最長180日の免許停止や、状況により危険運転致死罪や暴行罪の適用も可能との通達が出されたことは、行為の悪質性と危険性からみて大いに賛同します。こうした道路交通法の危険性帯有に係る行政処分は、あおり運転以外にも、過度な速度超過や信号無視、ドリフト走行、スマートフォンなどを見ながらの運転などにも該当すると考えます。運転行為の持つ本質的な危険性を認識させるためにも、厳しい行政処分を要望します。
A現在は死傷事故を起こし免許取り消しとなった者も欠格期間の後、再度免許取得が可能となっていますが、事故を起こした者は再犯率が高く、重大事故再発のリスクも懸念されます。違反点数が一定以上になったら永久免許停止とする法律を設けてください。
また、上述のあおり運転事件では、容疑者が事故直前に起こした他県での悪質な違反運転の情報があとで発覚しており、都道府県警察間での法規違反者・違反歴情報の共有化が遅いようです。違反者・違反歴情報は全国共通の電子データとして即刻検索できるシステムを構築し、悪質違反者の迅速かつ厳正な取締りと処分を推進してください。

4.無免許運転を防止するため、自動車への「ICカード免許証による無免許運転防止装置」の装着を義務づけてください。
免許停止・取消し中のドライバーが運転をして違反や事故を起こす例が見受けられます。免許停止・取消し中は運転できないようにするには、無免許運転防止装置の導入が必要です。

5.運転免許自主返納をさらに促し、公共交通利用へのシフトを関係省庁と連携して進めてください。
警察庁はじめ関係機関の取り組みにより、高齢者の運転免許自主返納が進んでいるのは社会にとって大きな前進です。さらなる推進を願うとともに以下の対策を要望します。
@長く自動車依存で生活してきた人が、体力の低下した高齢になってから自動車を手放すのは、特に交通不便地域では生活面でも心理面でも大きな抵抗があります。高齢化がさらに進むこれから、高齢になってからではなく、若い世代にも免許返納・マイカー利用削減を促し、自動車に頼らない生活への転換を呼びかけてください。
A@と並行して、国土交通省等と連携して高齢者や障害者も歩きやすい道や自転車で走りやすい道づくり、きめ細かな公共交通網の拡充、動線や利便性を考えたまちづくり(公共施設や病院を結節点となる鉄道駅やバス停付近に設けるなど)を推進してください。全世代でマイカー依存度を減らせば、地域の公共交通網の活性化にもつながり、道路の渋滞緩和、交通事故削減にも寄与します。
B各地の警察で免許自主返納者に様々な特典を設ける取り組みがされていますが、免許返納者だけでなく、免許を持たず(持てず)に移動の不便をかこちながら生活してきた人々にも応分の配慮をしてください。
          以上

posted by kuruma-toinaosu at 07:06 | Comment(0) | 提言・提案・意見表明 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

高齢ドライバーによる事故についての声明

2017年01月28日
多発する高齢ドライバー事故への対処のあり方について、問い直す会の考え方を
世話人間で検討し、声明としてまとめ、1月24日に関係官庁および大手マスコ
ミほかに送付しました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
高齢ドライバーによる事故についての声明
2017年1月
クルマ社会を問い直す会
代表 榊原茂典

昨年後半、高齢ドライバーによる歩行者を害する自動車事故の報道が多数なされ
ました。これに対する当会としての基本的な考えを述べます。

私どもは、歩行者の安全を最優先した施策の実施を求めます。これは、高齢ドラ
イバーの事故に限らずすべての自動車事故を減らす対策でもあります。

1.自動車は、事故につながる諸要因に歯止めをかける機能を可能な限り搭
載すべきであり、その機能を有した自動車のみが走行できる社会にすべきと考え
ています。行政は自動車を製造し販売する業者に対して、衝突予防機能、制限速
度遵守機能、信号遵守機能、一時停止遵守機能、酒酔い運転防止機能、アクセル
とブレーキの踏み間違い防止機能、無免許運転防止機能などを装備した自動車し
か製造販売しないよう、規制し・義務づけをすべきと考えます。既に完成してい
る技術はもちろん、研究途上にある技術についても、段階的改善を前提として、
早急に装備義務化にむけて取り組むべきと考えます。
2.免許制度を手直しして、事故を起こす可能性が高い者に免許を与えない
・免許を取り上げる制度を構築すべきと考えています。事故を起こす可能性がな
いか、ドライバーに対する試験・検査をより頻度高く行う制度を設けるべきと考
えます。認知症、アルコール・麻薬等の中毒、てんかん・低血糖症・睡眠時無呼
吸症候群など運転に支障を及ぼす可能性のある病気などについての検査、そして
テスト道路上もしくはシミュレーターによる実技試験、及びそれらを補完するペー
パーテストを最低2年に1回、ある条件以上の者は1年に1回以上行い、運転不適格
者が事故を起こす前に出来るかぎり発見する制度を作るべきと考えます。

これらの2つの施策の実施には数多くの問題が伴うことは承知しております。しか
しこれらを行わずに歩行者の安全を実現することは出来ません。警察、国土交通
省、内閣府および自動車業界は是非本腰を入れて取り組んで頂きたいと考えます。

尚、免許制度の手直しに関連して、移動の手段確保策として公共交通や福祉交通
の充実を図るべきと考えていますが、それらの整備が進まないことを免許制度の
手直しをしない、あるいは遅らせる口実にしてはならないと考えます。いかなる
社会状況にあろうとも、運転不適格者が凶器となり得る自動車を乗り回す事態は
なくすべきと考えます。
以上

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

posted by kuruma-toinaosu at 11:06 | Comment(0) | 提言・提案・意見表明 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

横断歩道横断中の歩行者へのアイコンタクト指導についての疑問

2016年03月05日
2016年2月28日、クルマ社会を問い直す会は、警視庁警視総監あてに「『横断歩道横断中の歩行者へのアイコンタクト指導についての疑問』〜交差点事故に関する警視庁談話(2月17日)についての意見」を提出しました。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
警視庁警視総監 殿

「横断歩道横断中の歩行者へのアイコンタクト指導についての疑問」
〜交差点事故に関する警視庁談話(2月17日)についての意見

                        2016年2月28日
                        クルマ社会を問い直す会

私どもは、交通事故をはじめとするクルマ社会の問題を考え、人の命を最優先にする安全な社会の実現を願って活動をしている市民グループです。交通事故被害者やそのご遺族の会、その他交通問題の会とも交流をもちながら活動をしています。  
さて、2月15日と17日に足立区と町田市で、横断歩道を青信号で横断中の小学生を大型車がはねて死亡させた事故を受けて、警視庁より「青信号でも安全とは限らない。必ず左右を確認し、ドライバーとアイコンタクトをとってから横断してほしい」という交通総務課課長代理の談話が出されました(2月18日朝日新聞朝刊・東京版記事より)。この談話には重大な問題点があると考えており、再考を求めるとともに実効ある交通安全対策を申し入れます。

1:道路交通法の精神を軽視する発言
今回の2つの事故は「歩行者は横断歩道を青信号で横断する」という、交通安全の基本である道路交通法を遵守した歩行者が被害に遭ったものです。しかるに、上記の談話は、道路交通法を所管し交通安全の責務を担う警察の交通責任者が自ら法の精神を軽視し、責任の所在を曖昧にするものです。また、本来はドライバーが全面的に過失責任を負うべきところ、なんの過失もないと考えられる幼い被害者にも過失があるかのように思わせ、責任の一端を負わせようとする(その意図がないとしても結果としてそう解釈される)もので、看過できない発言です。(ご遺族にとっては二重三重に傷つけられる発言であるとも聞き及びます。)

2:アイコンタクト指導の問題点
さらに、「ドライバーとアイコンタクトをとること」を求めています(警視庁では以前から学童などにアイコンタクトの指導をしています)が、ここにも以下に記すように多くの問題があります。

(1)短時間の猶予しかない青信号横断中に、歩行者がクルマ接近の危険を感じながらドライバーとアイコンタクトをとることは、大人でも容易ではありません。そもそも人と車が平面交差する道路で安全確認を十二分にすべきは物理的強者のクルマであり、弱者である歩行者が強者の目を確認しなければ安全を保障されないのは本末転倒です。ましてや幼い学童に複数の車のドライバーの目をとらえさせ、安全かどうかを判断させること自体に無理があります。子どもは下図に示すように、判断力、思考力、視力、体力等が未熟な存在であり、大人が望むような行動はできないことは発達学においても認識されています。
fig-age6.jpg

(2)当会では実際に交差点に立ってアイコンタクトの検証を行いました。すると、トラックなどの大型車ほど運転席が高く、子どもではドライバーの視線はとらえることが大変です。しかも、天気によってはフロントガラスの反射によりドライバーの顔は見えにくくなります。曇天においては大型車のドライバーの顔はフロントガラスの反射で下からはほとんど見えません。普通車の場合でもかなり見えづらく、真横に来れば見えるようになりますが、それでは事故回避には遅すぎます。まして、雨天で傘をさしていれば、ドライバーの顔を見ること自体が低学年では不可能であり、たとえ見ようとしても、ワイパーの動きや水蒸気の曇りも加わってドライバーの目の視認は困難です。さらに、日暮以降はヘッドライトの強い光が視認の妨げとなります。

(3)アイコンタクトをしたつもりでも双方に思い違いがあり、逆に危険な場合もあります。検証中も、横道から来たトラックにアイコンタクトで確認したはずが前進され、ヒヤリとしました。子どもがドライバーの目を見て瞬時に正しい判断をすることも難しいですが、もし車が止まらずに迫ってきた場合、とっさに回避することも難しいでしょう。

(4)もし、左右確認、アイコンタクトをしなければ青信号横断中でも安全は保障されないのが現実であるとするなら、視覚障がい者や、足腰が弱って動作が不自由な高齢者の安全も保障されないことになります。

3:実効ある対策の要望――歩車分離信号増設の要望――
歩行者が青信号で横断中に被害に遭う事故は繰り返され続けており、今回の事故のような右左折車による事故も絶えません。その原因として、道路・交通システム等における歩行者の安全対策の軽視・遅れがあります。とるべき対策は多々ありますが、信号のある交差点での右左折事故を減らす実効ある対策として、歩車分離信号のより一層の増設を強く望みます。平成23年4月20日付の警察庁通達『歩車分離式信号の整備推進について』でも歩車分離信号は歩行者被害事故の防止に有効であり、早急な整備が望まれると記されています。ドライバーにとっても安全で安心な信号システムです。歩車分離信号は現在は右折のみ分離式が多いですが、左折事故も防ぐには完全分離式が必要です。2015年3月に多摩市新大栗橋交差点で女児が被害に遭った事故も右折のみ分離であったことが原因によるもので、完全分離式に直されました。事故が起きてからではなく起きる前に、通学路の交差点や自動車交通量の多い交差点から順次、完全型歩車分離信号の早急な増設に総力を挙げてください。渋滞や交通流の心配より、人命の安全を第一に考えてとり組まれることを強く要請します。 以上


posted by kuruma-toinaosu at 10:53 | Comment(3) | 提言・提案・意見表明 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

トラック等の自動車による歩行者事故被害を減らす対策強化の要望

2015年11月06日
2015年11月1日、クルマ社会を問い直す会は「トラック等の自動車による歩行者事故被害を減らす対策強化の要望」を提出しました。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

国家公安委員会委員長殿

警察庁長官殿

内閣府政策統括官(共生社会政策担当)殿

国土交通大臣殿


2015111


クルマ社会を問い直す会   




トラック等の自動車による歩行者事故被害を減らす対策強化の要望


我が国の交通事故は減少傾向にあるとはいえ、平成26年の死者は4838人にのぼり(事故後30日以内死者。前年の1年間死者数は6000人弱)、負傷者は70万人を超えています。また、死者の半数は歩行者・自転車利用者という現実が示すように、交通弱者の安全が脅かされている現状が長く続いています。

違法運転や不注意運転による事故は常態化しています。さらに今、種々の道路建設、2020年東京オリンピック関連、国土強靭化関連、リニア中央新幹線等、各地で工事が進行または予定されており、工事関係車両の増加、時間・経費節減による安全運転の軽視など、交通事故の要因がさらに増えることが心配されます。また、2017年より車両総重量3.5t〜7.5t未満の運送用等のトラックの運転免許(準中型運転免許)が18歳から取得可能になるとされ、若年運転者による事故増加も懸念されます。このような状況下で、以下のような事故予防策の強化を要望いたします。第10次交通安全基本計画にもぜひ反映させてください。



1.歩車分離信号(完全型)の増設

 交通死亡事故を事故類型別にみると最も多いのは人対車両(横断歩道とその付近横断中)で約25%にのぼります。歩車分離信号は、歩行者を守る効果が高く、車両同士の事故防止にも有効な信号システムです。一般に歩行者巻き込み事故などは右折時が多いことから、右折のみ分離式の交差点が多いのですが、分離式になっていないことによる事故もあり(*1)、安全確保には完全分離式が望まれます。犠牲者を出す前に、自動車交通量特にトラック交通量の多い交差点では完全型歩車分離信号の早急な増設を進めてださい。

 なお、警察庁では平成23年に歩車分離式信号の整備推進の通達を出し、平成26年度末までに合計2600基以上の整備を計画目標に掲げています。どの程度整備推進が進み、それによりどのような変化が見られるかについて、お知らせください。

*120153月に東京都多摩市の右折のみ分離式の新大栗橋交差点で、横断歩道を青信号で横断中の8歳女児が左折トラックにはねられて死亡した事故は、完全分離式であれば防げたもので、ご遺族、市民、市長らの要望で完全分離式への変更がなされました。また、201211月に広島市の県道交差点でトラックが左折時に横断歩道上の小学生をひいて死亡させた事故でも、歩車分離信号の設置が望まれると分析されています(国土交通省中国運輸局平成25年度自動車安全セミナー発表事例)。



2.幹線道路の制限速度の強化

自動車はスピードが上がるほど歩行者や自転車を見落としやすく、衝突・接触時に与える被害も大きくなります。一般道の中でも国道、都道府県道などの幹線道路は制限時速4060qの区間が多くありますが、ほとんどの車は制限速度より速度超過して走ることが常態化しています(平成26年中の国内の道路交通法違反の取締り件数のうち最多は最高速度違反で約184万件)。幹線道路でも歩行者が多く横断するところや、歩道や自転車レーンが分離していないところも多くあります。そのような道路は制限時速を30q以下に下げてください。また、速度を下げる理由をドライバーに周知徹底させ、違反取締りと罰則を強化してください(*2)

*2:衝突時速度が時速30qを超えると致死率が急激に上がることは、警察庁交通局の「速度規制の目的と現状」資料等にも記され、「ゾーン30」の根拠にもなっています。ただし、その理由を理解して低速走行をするドライバーは極めて少ないように見受けられます。



3.一時停止線での停止の指導、取締り強化

信号のない交差点の一時停止線で確実に停止する自動車はほとんどありませんが、一時停止をすれば出会い頭の事故を大きく防げることが指摘されています(*3)。一時停止を必ずするよう指導教育および取締りを強化してください。

*3:松永勝也九州大学名誉教授など。



4:中型・大型自動車の車体の安全対策の義務づけ

車体の安全対策に関する装置については、別提出の「最近の重大交通事故を教訓とした緊急要望」に記載の通り、全車装備義務化をしてください。

さらに、中型・大型自動車については以下の装置の取り付けについても義務づけをし、導入推進を図ってください。

◎ふらつき注意喚起装置

◎車両横滑り時制動力・駆動力制御装置

◎後方視野確認支援装置(バックアイカメラ、近接センサー、複合曲面ミラー、等)。

GPSつきデジタルタコメーター、ドライブレコーダー(これらは上記要望書にもありますが、スピード抑制の行動監視としても重要であり、タコメーターは制限速度内の一定速度での安定した運転を促す訓練にもなります。運行管理者による機器の毎日のチェックも義務づけてください。)



5:運転に影響する病気の検査の義務化

@免許取得時・更新時に、道路交通法で定めた運転に影響する病気の医療機関による検査と診断書提出を義務づけ、問題がある場合は免許交付を止めてください(*4)。 

中でも睡眠時無呼吸症候群はスクリーニング検査(睡眠時の血中酸素濃度を経皮的に測定する方法など)が可能なので、早急に実施してください(*5)

無自覚性低血糖については、インスリンなど薬剤療法中の糖尿病患者には年1回医師による無自覚性低血糖がない旨の証明書提出を義務づけ、無自覚性低血糖がない場合も「運転前に血糖値を測定して100r/dl以下なら運転しない」「運転中は1時間ごとに血糖値を測る」ことを義務づけてください。

心血管病に関してはホルター心電図のほか有効な検査方法について専門医による研究を進めてください。心筋梗塞や狭心症の発症後は一定期間(例えば最低でも3か月間)運転禁止とし、再度運転を希望する場合医師の診断書の提出を義務化してください。

・アルコール中毒については、久里浜医療センター開発の久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(KAST)を義務化し、「依存症の疑い群」は免許交付を止めてください。また、検査の義務化がされていない現状においては、飲酒運転で検挙されて免許停止等になった者が再度免許申請をする際には医師の診断書提出を義務づけ、「飲酒運転歴」を記録して継続監視してください。

認知症が原因で歩行者が死傷する事故が多発しています。認知症は若年性もあるので、検査は少なくとも50歳以上から義務化してください。

A視野狭窄を伴う緑内障などの検査の必要性も関係学会等から意見が出されています。加齢とともに視野狭窄の症状は増え、信号や交通標識、歩行者等の確認能力も低下します。高齢化が進む中、眼底検査と視野検査も早期義務化対象としてください。

B国土交通省の「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル平成26年改訂版」によれば、運輸交通業労働者は心血管病等の割合が全産業平均より10ポイント以上高く、約64%に及ぶと報告されています。その点をふまえ、運輸ドライバーには@Aの検査を年1回行うことを運輸事業者の責務とし、過重労働がないか抜き打ち検査などで監視を強化し、違反時の刑罰を重くしてください。

*4:当会では2011920日に「自動車運転免許取得・更新時の、医学的・技能的・資質的運転適性検査の義務化を求める意見」を提出しています(再添付します)。

*5:睡眠時無呼吸症候群の患者は国内に数百万人いるといわれますが、眠気など自覚症状のない場合も多く、日本人は非肥満者でも発症する例が多いといわれ、スクリーニング検査の重要性は多くの専門家から指摘されています。




6:定期的な運転技能・資質の検査および教育の義務化

通常、免許取得後は運転技能の再検査・再教育の機会がありませんが、事故を防ぐには定期的な運転技能・運転資質(性格)の検査や教育が必須です。免許更新時は簡単な講義やビデオ教育ですませるのではなく、再検査・再教育の場としてください。また、交通違反者には別に定期的な再検査・再教育を義務づけてください(これも注4の意見書に記載)。

さらに、運輸事業者によるドライバーへの検査と教育も義務づけてください。教育は受け身の講習ではなく、運転シミュレーターによるもの、自ら行動をふり返り課題に気づかせて行動変容を促す行動療法(*6)等、実効性のある教育を専門家の助言のもと行ってください。

*6フィンランドでは、事故や違反を起こした者にはグループ討論による自己分析などを通して行動変容を促すカリキュラムが設けられ、効果が認められています(公益財団法人国際交通安全学会レポートより)。

以上


posted by kuruma-toinaosu at 22:09 | Comment(0) | 提言・提案・意見表明 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
toinaosu-g-200dpi-blue2.png